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| | 【2024/04/27 07:41 】 TOP▲
マイケルの白い肌がどうしても気になる方へ。
そんなこと、全然気にならないけど?というのがファンの方の大半だと思いますが、「実はけっこう気になってモヤモヤしてる」という方のために。
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火の無い所に煙を立てるゴシップ戦略

マイケル・ジャクソンほど、メディアの悪意によってそのイメージを故意に歪められたスターはいません。

今朝、新聞の文化面記事でただただビックリな記事を目にしました。本当にビックリしました、そういう勉強不足、あるいは悪意あるライターに記事を書かせている新聞がいまだにあるなんて。

記事の要旨はこうです、「マイケル・ジャクソンは、白人コンプレックスから抜け出せなかった。だからオバマにはなれなかった。彼の白い肌、白人の友人たち、黒人らしからぬ音楽がそれを物語っている・・・」

ゴシップを作り出す彼らのやり方は非常に巧妙です。「マイケルをよく知る○○氏の話として・・・」などと言って、信用ならない人物の嘘の証言をいかにも本当らしく見せかけたり、あるいは、「マイケル本人の言動」などといって、前後の文脈を作為的に編集してわざと誤解を与えるような見せ方を演出します。

嘘情報にはたいてい共通点があって、いつもたいてい、「片方の立場の意見しか入っていない」ということですが、もっとひどいものは、「嘘2つを並べていかにも公平そうな印象を与えて、真実ははるか彼方」・・・もうこうなると、何を信じていいのかという感じですが、残念なことに、それがマイケルを取り巻く実際のメディアの姿でした。

何故そんなことを?そこには、「真実よりも、勝者を貶めるどぎついウソの方が、一部の無知な視聴者・読者の卑屈な心を満足させるし、なんてったって、手っ取り早く金になる」という、メディアの惰性と買い手側の無知・無責任があります。

「マイケル、ナンとか疑惑発覚!?」みたいな名のつく情報はほぼすべて嘘だと思って間違いありません。
大半は軽く受け流した大人なマイクですが、例の「少年虐待疑惑」と「白人になりたがって肌色を変えた」という噂は、本当に彼を深く傷つけました。虐待の件は、お金目当ての全くの嘘だったということがすでに明確に立証されているので、ここでは詳細は省きます。ただ、国家的なリンチに遭い、不当に生命までも奪われかけた(あるいは、実際に数年間の貴重な人生の時間を「奪われた」)、これが真実です。

誤解、偏見、社会背景

意外といまだに根強く誤解されているのが、肌の色のことです。
日本ではいろんな面で欧米の感覚と違うと思いますし、単純に英語が伝わっていないという事情もあり、マイケルの音楽が好きだというファンのなかにさえ、いまだに多くの誤解があります。
マイケルの肌の問題が始まったのは、本人の記憶によれば、『オフ・ザ・ウォール』か『スリラー』の頃だといいます。最初はそれほど目立たなかったものの、『BAD』や『デンジャラス』の頃になると、ずいぶんと世間で騒がれるようになりました。何事に対しても多くを語りたがらなかったマイケルでしたが、『デンジャラス』のプロモーションの一環として、90年代はじめに、オプラ・ウィンフリーの特別インタビュー番組に出演。そのなかで、自身の皮膚疾患についてや、他のさまざまなゴシップに対して、痛ましくも落ち着いて率直に回答しました。

マイケルは自分の肌の白色化について、「日光にアレルギーがあり、肌に白斑が出て、調子が悪い時は日陰でもNG」という、ごく珍しい皮膚疾患を抱えていると告白。遺伝的に父方の家系にあるものだということで、これはお父さんのジョーも認めています。病理用語で「白斑(Vitiligo)」というこの症状は、当時、欧米でもそれほど知られておらず、マイケルのインタビューで初めてそういう言葉があると知った人も多いようです。ただし、一般によく知られていないとはいえ、患者団体は欧米で数千人規模のものが存在しますし、日本人の方でもたくさんいらっしゃいます。
白斑とは? (社団法人日本皮膚科学会HP)自分の目で見れば一目瞭然です。

この症状があまり広く知られてこなかった背景には、ひとつには、これが命にかかわるほどのものではなく、患者は、騒ぎ立てるよりはそれをクリームやメイクで目立たないように隠して、何事もないように生活する人がほとんどだということ。だからといって楽な病気かというと、その外見上の特異さが、いじめや偏見、差別や攻撃の対象にいかにされやすいか、容易に想像できると思います。

現在でも医学的に解明されているとは言えないこの症状は、マイケル本人に責任があるものではなく、簡単に解決する問題でもなかった。マイケルは、そういった理解され難い自分の症状について話すのを嫌がりました。
「自分ではどうすることも出来ないし、分からない。このことは、本当に僕を悲しくさせる。プライベートなことだから、自分の病歴を話したくはない。」
メディアはそこにつけこんで、「そんな聞いたこともないような病気の話はウソで、マイケルは自分を否定し、白人になりたくて全身の皮膚漂白(移植というバージョンもあり)をした」という、バカバカしい話をでっち上げたのです。少し考えれば分かると思います、そんなことが果たしてありえるでしょうか?そんな不思議な手術が?そんなことをする必要が?

アメリカの人種差別意識は今も根深く、また、複雑な面があります。単に「白人が偉い、黒人が低い」という単純構造ではありません。例えば、モハメド・アリに興味がある人ならば、アリの時代には黒人同士のなかで対立があったり、「白人よりも黒人が偉い」と主張するグループがあったりした事実を知っていることでしょう。また、割と最近では、エミネムの自伝的映画『8マイルズ』でも、「てめぇ白人のくせにラップなんかやりやがって、ふざけんなYO」といった、「白人差別」が扱われています。一部ではアジア人を低く見る傾向もまだまだ根強いですし、あるいは、「成功した自分の仲間」をひどく妬むパターンも多く、「あいつは肌は黒いが中身は白野郎だ、俺は成功できないのに、あいつだけ金持ちになりやがって」というように、「怠惰な自分」を棚に上げて、努力した勝者を落とそうとする、ある種の動物的な生存本能のような強い嫉妬心が、世の中にはどうしても存在します。

また、そもそも差別のなかに「真理」はありません。肌の色であろうが、信じる神の名前であろうが、自分が知らないだけの病気であろうが、「自分と少しでも違う相手を否定することでしか、自分を確かめられない」、そういう弱い人間の心が、すべての差別の元なのです。

肌の色が少しでも明るい方がなんとなく偉い、カッコいい、という、非白人層の間の「白い肌への憧れ」というものが、謎の「漂白剤」を出現させたのは、1930~40年代とも言われ、効果の方は知りませんが、そういう怪しい商品が出回った事実があるそうです。
1930年代が、今と比べて、どんな時代だったか、人々の意識はどのようなものだったか、考えてみて下さい。

マイケルは、1958年生まれです。11歳でデビューする以前から、地元ではすでにアイドルであり、あらゆる人種のファンにちやほや追い掛け回される人気者で、ポケットにはいつもおひねりのお金やキャンディーがいっぱいだったと回想しています。マイケルの祖父や、父親ジョーの世代は、「貧しい黒人」のど真ん中でしたが、マイケルは違います。経済的・社会的には、子どもの頃からかなり恵まれた環境でした。
「迫害されるのは自分が黒人で、デカイ鼻と黒い肌のせい。白人になれば良くなる」・・・一体、誰がそんなふうに考えるでしょうか???

マイケルの反論

マイケルが黒人差別への怒りをハッキリと感じ、その怒りをエネルギーに変えていくのは、大人のアーティストとして活躍する80年代頃からです。『オフ・ザ・ウォール』で商業的にも批評面でも成功を収めた、にもかかわらず、「黒人はうちの雑誌の表紙に出来ない」「『ビリー・ジーン』は流せない」と、大手はマイケル本人と作品を断りました。若くて血気盛んなマイケルは大いに怒った。その怒りの表現方法が、凡人と天才の違いでもありました。マイケルは、『スリラー』へとバージョン・アップしていく過程で、人種の壁のみならず、ジャンルの壁をも吹っ飛ばしました。それまで黒人アーティストを流さなかったテレビ・ラジオ局や、黒人アーティストを表紙にしなかった雑誌、そういった人種の壁が、マイケルの抗い難い圧倒的なアイデアとパフォーマンスによって、ことごとく決壊しました。

間違いなくマイケルには、「ブラック・アメリカンとして、自分はすごいことをやってみせると言った。そして、実際にそれを実現した」という深い自負があったはずです。

マイケルのなかの「差別への怒り」は、元来の彼のなかの「優しさ」と合わさって、より大きな「博愛」の精神へと昇華されます。人種や宗教、文化の違いを超えて、世界中でたくさんのファンを獲得、そのしなやかで長い手足から「ブラック・バンビ」とも呼ばれ、愛される存在となりました。

マイケルには、自分の褐色の美しい肌に誇りがあり、自分のアイデンティティに大きな尊厳がありました。白人になりたい?話になりません。屈折した不自然な理由で白い肌を手に入れたいなどと考えるストーリーは、まったく出来の悪い寝言です。

リゾートで肌をこんがり焼いて「白人が黒くなる」ことを、あるいは白人アーティストが「ブラック・ミュージック」をプレイすることを、誰も責めません。ところが、不運な病気という理由で「黒人が白くなる」ことを、多くの人が内心で許せませんでした。悲しいことです。

根本的にマイケルは優しく、物静かで、「やられたらやり返す」というのは彼の信条に反するために、多くの人が「マイケルには何をやっても泣くだけで怒らない」とか、「いじめられても何も言い返せない」と勘違いしました。しかし、事実は必ずしもそうじゃない。マイケルは、2000年代に入って、それまであえてハッキリとは触れてこなかった「アメリカ音楽業界における黒人アーティストへの不当な差別」という問題について主張します。有力黒人指導者らの後押しも受け、スピーチやデモを行い、そこでのマイケルは、ファンでも少し驚くほど、激しい怒りをあらわにしました。
2002年のスピーチの一部です。
「かつて私は、それまでのレコード売り上げ記録を更新し、エルヴィスの記録を破り、ビートルズの記録を破りました。私がひとたびそれを成し遂げたとたん、一夜にして、彼らは私を『フリーク(化け物)』と呼び、同性愛者と呼び、児童虐待者と呼びました。彼らは私が肌を漂白していると言ったのです。彼らはあらゆる手段を使い、世間が私に対し敵対するよう仕向けました。陰謀です。」

もちろん、こういった明確な主張の発言の場でも、マイケルは最後にこう付け加えるのを忘れません。
「(音楽業界の差別問題について)何か行動しましょう・・・そして、忘れないで。私たちは皆すべて兄弟姉妹です、私たちが何色であろうとも。」

マイケルのシンプルな思考回路

マイケルが物心ついたときから最後までぶれずに抱き続けた想いは、「しょーもないことで自分と相手を区別して、偏見に惑わされて対立したりケンカしたりするなんて、バカバカしい!君と僕とは、よく見れば一緒じゃないか!」という、差別や偏見に対する生理的な激しい拒絶です。
マイケルが、アメリカだけでなく「世界」(しかも政治的には反アメリカの国々も含めて)で受け入れられた最大の理由は、おそらく、この「協調、ハーモニー」のメッセージ、相手を尊重する「愛」や「尊敬」といった、普遍的な部分にあります。

マイケルは、5歳の頃からステージに立ってきました。美意識が高く、衣装などにもごく若い頃から気を使っていました。思春期には、顔にニキビが出来てしまって、それでも人前に出なければいけないことにとても悩んで、よく泣いていたと語っています。そういう繊細な性格だったため、白斑──これは単に肌が白くなるというものではなくて、目立つムラになるんだそうです──も、とても辛かったに違いない。想像してみて下さい、一般の方でも、この外見上とても目立つ症状のために、変な目でみられて傷つくものなのに、ましてや、彼は24時間誰かのカメラが隙を狙っている、マイケル・ジャクソンです。どれだけ辛かったでしょうか?

アーティストである自分は、いつも美しい姿でいたい、いなければならない、そう思っていたのは当然のことです。
「この症状は肌にシミを作る。だから僕は化粧をしているんだ。肌を均一に見せなければいけないから」と、インタビューで答えています。

白であろうが黒であろうが、マイケルは肌を美しく見せたいとは思っていたでしょう。完治出来なくても、なんとか症状と折り合いをつけてコントロールしながら人前に立っていかなければならない。そういう意味での何らかの「美白・美肌」行為はあったかもしれませんし、なかったかもしれません。このへんは、タブロイド側が勝手にわめき立てた噂・憶測の域を出るものではありません。何かそういう美白エステ的な処置があったとしても、その動機は、ごくシンプルに「肌ムラを何とかしなくちゃ」というものだったはずです。例えば、アトピーやニキビなどの肌の悩みなら、誰だって経験があるはずで、少しでもキレイな肌でいたいと感じるのは当然のことだと思うのですが、なぜマイケルの場合は、これほど誤解され責められなければならなかったのでしょうか?

マイケル側が何も言い返してこないのをいいことに、悪意あるメディアは、例えばこう捻じ曲げて伝えます、「マイケルをよく知る○○医師によると、マイケルは特殊な肌漂白の薬を使っていたと、本人が告白したという。白斑?そんな話は聞いたことがない。おそらく、本当は黒い肌を嫌って・・・」
(○○医師という人物は実在するのでしょうか?そこの記者さん、医師には「守秘義務」というものがあるのをご存知?作り話にも出来の良し悪しがあるものです。)

長い年月のうちに徐々に肌が白くなってしまったことで、世間から少々エキセントリックだと思われることだけならば、本人はそれほど辛くはなかったかもしれません。しかし、「黒人である自分自身を肯定出来ない男だ」と世間から思われていると知って、マイケルは愕然としました。マイケルの言葉です、「(その話は)本当にひどく傷ついた。僕には、アフリカ系アメリカ人としての誇りがあり、僕が僕であることに誇りがある。本当に多くの誇りと尊厳を持っている。」

もしも仮に、マイケルが「楽な方に流れよう」と思ったならば、つらいバッシングを避けるために、それこそ何か不自然な方法で「肌を黒く変化させた」ことでしょう。でも、実際は、そんなことはしなかった。より自然な自分自身であり続けた。そう考えなければ、他のすべての勇気ある行動と矛盾します。

健康第一、僕の身体は自分だけのものじゃないから・・・

マイケルはいわゆる「健康オタク」な一面もありました。お酒やタバコは一切やりませんでしたし、贅沢な美食家というわけでもなく、むしろ食事は野菜中心の質素な生活だったといいます。
何事に対してもおそろしく慎重だったというのが、マイケルの性格の特徴のひとつです。子どもの頃から重責を背負ってきた彼は、自分の身体がもはや自分一人のものではないということを、いつも強く意識していました。「空き時間にスポーツはやらないんだ、怪我をしたり、リスクが大きいからね。僕らには多額のお金がかけられているから・・・」と、81年のインタビューでも答えています。
また、自分の子どもを持つようになってからは、その思いは、ますます大きくなったことでしょう。
そして、マイケルは、世界中のファン、特に子どもたちが、忠実に自分の真似をするということをよく理解していました。ダンスやファッション、ちょっとしたしぐさや、ひいては「生き方そのもの」まで。人々の模範となるような完璧な人間になりたい、そうあらねばならないと、過剰なまでに自身の行いを厳しく律していました。

「マイケルは怪しい薬を毎日何十錠も飲んで、健康を害してまで不自然に肌を漂白していた。屈折した自意識が彼を破滅の道へと導いた・・・」──こういった安っぽい作り話が、いかに事実と矛盾するか、もういい加減に、明らかだと思います。

マイケルは、世界中の子どもたち、そして、神さまに見られて恥ずかしいような行いは、出来る限りしないようにと、いつも努めていました。

肌の色ではなく、共通の痛みを理解してくれる相手を求めた

リサ=マリー・プレスリーとの結婚さえも、「白人へのコンプレックス」などと言って根拠なく無責任に非難する人がいるほどですが、これもまったくナンセンスな話です。結婚という形が長続きしなかったことは仕方ないですが、二人が本当に愛し合っていたことは明白です。6歳の時にはじめてマイケルと出会ったリサ=マリーは、離婚時にイザコザを起こすこともなく、その後もずっと友情が続きました。マイケルのメモリアルで号泣しながら思い出を語ったブルック・シールズにも、恋人関係ではなくなった後にも強い友情がありました。

その他、テータム・オニールやエリザベス・テイラー、エマニエル・ルイスやマコーレー・カルキンなどにも言えることですが、マイケルは、「自分と同じように子ども時代から有名人であった=辛い子ども時代であった」という共通点を持つ相手に、男女問わず、強く共感し惹かれる傾向があり、これは、ある時期までは特に顕著でした。ハリウッドの子役からのトップスターに占める比率は、現在でさえも、白人の割合が圧倒的に多いのです。これは統計的に明らかな事実です。恋人や結婚相手がいつもたまたま白人だった、これはむしろ、相手の境遇には興味を持ったが、人種には何のこだわりも持っていなかったマイケルとしては、ごく自然なことです。

そもそも、マイケルがあたかも「白人系の人間ばかりを尊敬し、親しく付き合っていた」かのような伝え方をすること自体、まったく不公平です。人種・宗教・世代を問わず、マイケルには、多種多様なアイデンティティを持つ多くの友人たちがいました。そのすべてに敬意を忘れません。

MJ&JBフレッド・アステアやチャップリンを、マイケルは尊敬していました。そして、偉大なジェームズ・ブラウン──Say It Loud — I'm Black and I'm Proud──は、マイケルにとっての「神」でした。ダイアナ・ロスへの崇拝に近いほどの愛も、マイケルは、「彼女が結婚したと聞いて、僕は大ショックだった!」とさえ、はばからず公言しています。人々はしばしば、マイケルの整形手術について、「彼はダイアナが好き過ぎて、ダイアナの顔になりたいんじゃないか?」とジョークのネタにしました。整形手術への意見・賛否はさまざまあるでしょうが、憧れの誰かに少しくらい似ていたい、そんなふうに思うことも、マイケルの場合は許されないのでしょうか。
(ちなみに、マイケルの整形手術に関しては、複雑なダンスの練習中に起きた不慮の事故によって、鼻を損傷しまったことがキッカケです。)

音楽的なベースはクラシック、そしてすべての美しいもの

「マイケルの音楽はあまり黒人的でない。だからやっぱり白人コンプレックスなんだ」などという、もうここまでくると、ただただビックリな中傷さえあります。クインシー・ジョーンズのことも、テディ・ライリーのことも完全無視の単なる言い掛かりです。

マイケルの音楽性の背景は多様です。幼稚園児の頃から親しんだクラシックやミュージカル、ビートルズなどの「白人音楽」(こういう言い方自体、かなり変だけど)はもちろんのこと、JBやモータウン、その他あらゆる「素晴らしいもの」が、マイケルの創造性に影響しました。ここでも、マイケルは、「白か黒か」なんてわざわざ分けて考えるなんて思いつきもしないくらい、純粋に「素晴らしいものは素晴らしい。」

マイケルは人真似がキライで、すべての面でパイオニアであり続け、後の世代に与えた影響は計り知れません。言うまでもないことですが、ラップ・ヒップホップやR&Bなどブラック・ミュージックが中心の現在の音楽シーンで、マイケルの影響を受けていないアーティストは皆無です。120万歩譲って、マイケルの音楽が黒人的でなかったとしても、「その後のブラック・ミュージック(だけじゃありませんが・・・)はみんなマイケルっぽくなってしまった」、このことは多くの賛同を得られるでしょう。

マイケルの音楽や見た目が白人っぽいから彼が白人コンプレックスだったという無茶な屁理屈が成り立つのならば、ミッキーマウスが大好きでミッキーの見た目や動きを取り入れていたマイケルは、同様に、ネズミにまでコンプレックスがあったと言わねばなりません。

「黒人は一生いかにも黒人らしい歌を歌って、同じくらい黒い黒人と結婚しろ。ましてや自分が勝手に白くなるなんて許せない」なんて考えは、内心でひそかに思っている分には仕方ないことですが、人に押し付けるなんて、いまどき「どうかしてる」としか言いようがありません。

2000年代半ば以降は、誰が見ても気の毒なほどに体調を崩したこともありました。いろいろあって肌も、「白い」を通り越して「青い」ほどに衰弱し、痩せて、自分で立てないほどの状態でパジャマのまま法廷に引きずり出されたこともありました。そんな時に、ここぞとばかりに流布されたパパラッチ写真を陰険に嘲笑するなんて(「KING OF POP、パジャマ姿で出廷!」)、私が思うに、人間のやることではありません。でも、それが実際に起こったことでした。

でも、マイケルは驚くべきタフさでそれも乗り越えて、再び笑顔と元気を取り戻しました。そしてまた、ドカンと世界を驚かそうと、頑張っていたんです。

KING OF POP は次世代へ、永遠に

米CNNで、最近、「マイケル・ジャクソンのファンですか?」という世論調査が行われました。その結果は、なかなか興味深いものでした。

回答者全体の51%が、自分はマイケルファンだと回答。そして、若い世代ほど高い割合で、「マイケルが好きだ」と答え、年代が上がるにつれ、キレイにその割合が減ったんだそうです。

つまり、『スリラー』や『BAD』旋風の時代に青春を過ごした世代が、単なるノスタルジーに浸ってマイケルを悼んでいるというわけではなく、むしろ80年代をリアルタイムで知らない世代の方が、マイケルをタイムレスな永遠のアイコンとして受け入れているのです。

だから、少なくともアメリカでは、「スリラー世代の懐かしスター、近年は奇行と転落」などという、ワイドショー的に捻じ曲げられたイメージは劣勢です。差別感情や固定観念の強い一部の人たちはそういう言い方の方がマイケルっぽくて良いと思うかもしれませんが、アタマの柔らかい若い世代には、マイケルの白い肌も濃い化粧も、ダンスも歌も歌詞も生き方も全部ひっくるめて、「超クール!なんてカッコいいんだ!!」、そう感じられるのです。

また、ブラック・ヒスパニック・アジア系などの「非白人系」では、ほとんどが「マイケルが好きだ」と答え、白人系ではそうでもなかったという、顕著な特徴もありました。複雑な人種問題に対しても、マイケルは歌やスピーチで強いメッセージを発してきました。たしかに、最近のマイクの肌はちょっと目を引くほどに白かったかもしれないけれど、それでもなお、アフリカ系アメリカ人としての誇り高い英雄と見なされていたことが分かります。

マイケルがいなければ、オバマ「大統領」の誕生にはまだまだ時間がかかったことでしょう。
何枚アルバムを売ったかという数字ももはや実測不可能なマイケルがですが、それ以上に、ひとりの「マイケル・ジャクソン」として世界中の人々に与えた影響の大きさは、はるかに計り知れません。
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| 誰のスキャンダル? | コメント(3) | 【2009/07/16 22:02 】 TOP▲
ベルリンのショッピングモール、砂の彫刻でMJを追悼。ホーム雑誌『EBONY』、2007年。スリラー25周年記念号。Part.1
コメント

無題

曖昧な問題を論理的に解決して頂き、ありがとうございます。

特に「社会的背景」について、感心いたしました。「差別に真理はありません」という文には感動すら覚えました。
| Alience | | 編集 | 【2011/08/17 10:50】 TOP▲
Alienceさん、どうもありがとうございます!
コメント感謝です!
私の書いた文章の中にも、まだまだ色々と誤解や思い込みがあると思います。世の中はホントに、難しいことだらけで・・・でも、皆さんの助けで、たくさんのことを知ることができて、それがまた他の人の役にも立てばラッキーだと思ってます。
「論理的」と言ってもらえたのは嬉しいな!たいがい、感情的になって支離滅裂なことを言っちゃうもんなので(笑)。

| 管理人ミラ | 【2011/09/02 22:29】 TOP▲

初めてこの記事を読みました。

私同じ考えを理路整然と明記して下さってありがとうございます。本当に深くマイケルを研究してからでなければ分かりにくく人に説明するのも難しい状況です。まず、マイケルの愛情あふれるパフォーマンスにこんなに人の心に訴えるものを感じる人でないと理解をしてもらえません。マイケル自身も人を愛するパフォーマンスで証明して行こうと決心していたのだと思っています。ピーターバカランが死後特集の雑誌に「病院の先生が『マイケルから白くなる薬を飲んでると言うのを聞いた』という記事があった」。とかで笑いものにしている記事を読んだときには本当に怒りがこみ上げてきました。まず、医師が言えるのか?なぜ、マイケルが語っている発言を無視できるのか?まったくマスコミに出る価値のない人物だと思います。怒りがこみ上げました。こうした残るプリントが一旦出たら鵜呑みにする人が出て消すに消えないのです。でも、思う人は思え!私たちは純粋にマイケルのパフォーマンスから感じ取って行きましょう。
| 和にゃん | | 編集 | 【2011/10/28 22:03】 TOP▲

肌の色なんて気にしないマイケル。

どんなにバッシングされても笑顔を絶やさない。強い心を持っていた。それでも児童虐待など有り得ない事に巻き込まれ精神的に相当きつかったと思う。今は好きな歌とダンスをバッシングされる事なく思う存分出来ているでしょうね(*^^*)
| Atsuko | | 編集 | 【2014/09/10 12:04】 TOP▲

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