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| | 【2025/01/16 11:55 】 TOP▲
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アルバム『HISTORY』からの第3弾シングル(アメリカを除く)としてリリースされた『EARTH SONG』。マイケルのお気に入り!
まずはチャートをチェック。この曲はかなり特徴的な記録を残しています。 アメリカではシングルカットが見送られ、プロモ盤(ESK 7605)のみが存在します。全米チャートにも登場しません。これは「環境ソングはアメリカ市場にそぐわない」とかいうよりは、もっと複雑に諸事情(他の曲との競合など)が絡み合った結果だと思います。 (どの市場にどのシングルを売り込むかという戦略は、必ずしもアーティストの意思とは一致せず、ほとんど「オトナの政治的判断」の範疇なので、曲自体の良し悪しとはあまり関係がありません。) >> 続きを読む >>
これに対し、ヨーロッパでは、『EARTH SONG』は明らかに熱狂的な歓迎を受けます。イギリス、ドイツの両国で6週間のNo.1を満喫。クリスマス・シーズンにうまく乗って、シングル・セールスも絶好調、それぞれの国で100万枚以上を売り上げます。結果的に、『EARTH SONG』は欧州でのマイケル史上最大のヒット曲となりました。特にドイツでは、この曲がマイケルの初のNo.1ヒットで、後にも先にも唯一のミリオンセラーです。これもまた「ドイツ人は環境重視」というだけでなく──もちろんそれは大きい要因でしたが、それだけだはなく、ドイツのテレビ番組『Wetten Dass..?』出演などの重点的なPR活動の効果でもあるようです。(授賞式以外の外国のテレビ番組でマイケルがパフォームするのが、いかに異例のことだったか!)
ちなみに、シングルは日本盤も出ていて、当時の日本では欧州ほどの熱狂はありませんでしたが、ジャケ写がビビッドなので店頭でもわりとよく目立っていました。髪型もピタTも、最高にかっこいい!輸入盤の場合、「メドレー入り」は購買意欲をくすぐる嬉しい特典だったので、わりと持っている人が多い1枚ではないかと感じます。 なにはともあれ、本国USでの「記録無し」と、欧州諸国での「自己ベスト」──この落差は一体 と悩みだすと、せっかくのエンタメ業界が不気味になって夜も眠れなくなるかもしれません。「オトナの事情」というだけあって、良い話と悪い話があるけれど、どっちも、タタタッと整理しておきましょう。 1995年 7月25日 NYにて記者会見。ジュリアーニ市長らとともに、MTV VMAのノミネーションを発表。同時に、12月に、NYにて一夜限りの特別コンサートを開催し、ケーブルテレビHBOにて放映予定と発表。 8月11日 ニューヨーク・タイムズ経済欄の小さな記事、「SONYグループの利益増大──エンターテインメント部門では、日本・アメリカでの売り上げが2.2%の伸び。歌手マイケル・ジャクソンのアルバム『HISTORY』のヒットが大きな要因」。 (2枚組BOX『HISTORY』は、発売からわずか5週間のうちに、世界で750万組を売り上げていた。ところが、この当時、多くのメディアは、アルバムの成功の事実をあっさりと無視し、「スリラーよりもはるかに売り上げが少ない」とか、「つーか、全然売れていない」(!)とか、「要するにMJはもう終わり」とか、かなりメチャクチャな偏向報道を行っており、対してSONY側は「ちゃんと売れてるっつーの!」と公に反論したり・・・と、なかなか不毛なバトルが断続的に繰り広げられていた。) 9月7日 MTV ビデオ・ミュージック・アワード。オープニングのステージで伝説を残す。『SCREAM』で史上最多の11部門ノミネートを受けていたが、結果は3部門の受賞にとどまる(しかも主要部門はすべて逃す)。 9~12月 ちょこちょこと受賞トロフィーを集める。BETのウォーク・オブ・フェイム(殿堂)への一番乗り、MTVヨーロッパ・ミュージック・アワードでの最優秀男性シンガー、スマッシュ・ヒッツ・アワード最優秀男性ソロ・シンガーなど。 11月 『EARTH SONG』、アメリカを除く世界各国でシングル・カット。アメリカでは、『EARTH SONG』と『THIS TIME AROUND』のプロモ盤がこのタイミングで出回っている。レコード会社としては、もしかしたら、『WHO IS IT』の時のように、この後に予定されていたHBO特番の視聴者のリアクションを見てシングルカットの候補を見定めるつもりだったのかも?? 12月6日 NYにて、病院に担ぎ込まれる。2日後に収録予定だったHBO特番『ワン・ナイト・オンリー(One Night Only)』に向けたリハーサル中だった。症状は胃腸炎と脱水症状、体液電解質のアンバランスと伝えられ、平たく言えば、「マイケルは仕事に夢中になりすぎて体調を崩してぶっ倒れた、またもや」。コンサートの収録と放送は、当然、中止となった。アメリカや世界での年末商戦へのテコ入れPRとして重要な位置づけの特番であり、それ以前に単純に、「マイケル・ジャクソン・スペシャル」は誰もが観たかったので、このダウンはとても残念な出来事だった。また、この特別なショーの観客は、比較的少人数の「招待」形式で、中には海外からはるばる旅してNYに来ていた人もおり、マイケルはただただ申し訳なく残念がった。 (健康上の無理で前のツアーを完遂できなかったことや、この病院行きの件によって、「マイケルは慢性的に食も精神も細く、虚弱で脆い」という短絡的な「イメージ」が、一部の人々の間で強まった。実際はむしろ、キング・オブ・ポップはかなり強靭な心身の持ち主。事実、翌年からのヒストリー・ツアーでは、適切なサポートが得られ、トレーニングがうまく噛み合ったのでしょう、「マイケルが太った!」と、非常に好意的に騒がれるほどに逞しく鍛えられた肉体とダンスで、ファンを安堵させた。) 同日、ビルボード・ミュージック・アワードに出席し受賞の予定だったが、これも当然欠席。ティナ・ターナーが代理で賞を受け取り、早く元気になってねと祈る。 12月 HBO特番ダウンの直後は、アメリカから逃れるようにして、パリ、ユーロ・ディズニーの「眠れる森の美女スイート」で休養。ベランダからファンに手を振る。 1996年 1月 マイケル・ジャクソンとリサ・マリー・プレスリー、19ヶ月間の結婚生活に終止符。 1月29日 アメリカン・ミュージック・アワードにて、最優秀ポップ・ヴォーカル受賞。ただし、マイケルは授賞式に出席せず。 2月19日 ロンドンにて、ブリット・アワードに登場。マイケルがイギリスのテレビで生パフォーマンスを行うのは、なんと20年以上ぶりのことだった。曲はもちろん、『EARTH SONG』。60人の子ども団と・・・ジャーヴィスコッカー付き!OMG!!! ハプニングにもめげず、怒って帰ったりもせず、マイケルは名誉ある「アーティスト・オブ・ア・ジェネレーション」を慎ましく受け取り、「UKの僕のワンダフルな家族の皆さん」に心からの感謝を述べる。 翌日、ロンドンを離れ、パリのディズニーランドに帰る。ちなみにパリでは、眠り姫スイートにただ潜伏していたわけではなく、パリを拠点とする新会社キングダム・エンターテインメント立ち上げを、サウジの皇子らと計画していた模様。この件についてはパリでの記者会見にて、3月に発表。 4月 マイケルがキッズとネズミの国を愛する以上に、キッズとネズミの国はマイケル・ジャクソンが大好き。雑誌『ディズニー・アドベンチャーズ』4月号にて、最優秀男性シンガーに投票選出される。キッズは好き嫌いに対して正直なので、選ばれてハッピー、とマイケル。 4月27日 最新シングル『THEY DON'T CARE ABOUT US』が、アメリカの2大音楽チャンネルMTVとVH1のプレイリストから外される。歌詞の問題に関連。(詳細は『THEY DON'T ~』のターンで。) 5月8日 モナコにて、ワールド・ミュージック・アワード。この年のWMAは、ショーの最初から最後まで、完全にマイケルがフォーカスされる特別な回となった。『EARTH SONG』パフォームの他、5つのトロフィーを集める 5月11日 ドイツ、ファンタジアランドに遠足。ここには「マイケル・ジャクソン・スリラー・コロラド・ローラー・コースター」と改名された乗り物があり、マイケルはそれに2回乗る。 タタタッ!のわりには、長くなりました。受賞関連の話は、これ以外にもまだまだありますが、全部詳しく拾っていくと辞書みたいな厚さの本になってしまうので、ほどほどにしています。 この時期の出来事で大きいのは、遊園地や、リサ・マリーとの離婚というよりはむしろ、アメリカでのHBO特番の中止と、その後のヨーロッパでの活発な活動です。(離婚に関しては、法的な手続き上の確定がこのタイミングというだけのことで、2人の間のある種の愛や絆は生涯壊れることはなく、そのことがかえって、タブロイド・ジャンキーズから見れば「面白くなく」、「理解不能」で「奇妙」だったようです。醜い財産訴訟や暴露バトルを交えた離婚の方が、むしろ「ノーマル」だということらしい!) 特にHBOの『ワン・ナイト・オンリー』は、アメリカ国内で行われる貴重なライヴ機会でした。90年代、ワールド・ツアーの日程から、アメリカ本土はすっかり消えてしまっていて、そのかわり、緻密にコントロールが行えるテレビ特番が、レコードを売るための最も重要な宣伝でした。この特番が蒸発してしまったことと、このタイミングでのアメリカでのシングルカットがスルーされたことは、無関係ではないはずです。 ちなみに、この時期に出回ったプロモ盤(ここにも「12月10日MJのHBO特番をお見逃しなく!」と宣伝文句が書いてある)で様子見をしていた『THIS TIME AROUND』は、全米R&Bエアプレイチャート23位まで上がっています。当時のアメリカのムードを考えると、「神々しくエコロジーを憂うマイケル」よりも、「ギャングスタのラップに怒りを乗せて、不当なバッシングに抗い吠えるマイケル」の方が、「合ってる」という空気だったかもしれません。ゲストにノトーリアス B.I.G.というのも、とてもアメリカ的です。 いずれにせよ、「USでのシングルはHBO特番での視聴者の反応次第・・・」と構えていたレコード会社、というのはかなりはっきり想像できます。 さて・・・そんな幻の『ワン・ナイト・オンリー』ですが、広報戦略やらオトナの事情やら以前に、一ファンとして大声で──もうっ めっちゃくちゃ、観たかったよねー(笑) 15年経っても、まだこうしてグズグズ言っているファンもいますが、スーパースターはぶっ倒れても切り替えが早かった。気を取り直して、すぐにヨーロッパでの『EARTH SONG』プロモーションに集中。えーと、マキシシングルは・・・元気に4枚くらい、いっとこうかな!大ヒットの欧州流通盤は、例によって、収録内容が違う複数のバージョンがあって、祭っぽくてオススメですが、まずは・・・ 日本盤 マイケル・ジャクソン アース・ソング ( / カタログNo. ESCA 6360 ) 1995年12月27日リリース 定価 1800円か、2000円くらいでしたっけ? 1. アース・ソング 2. アース・ソング [ハニズ・ラジオ・エクスペリエンス] 3. アース・ソング [ハニズ・アラウンド・ザ・ワールド・エクスペリエンス)] 4. アース・ソング [ラジオ・エディット] 5. アース・ソング [ハニズ・エクステンデッド・ラジオ・エクスペリエンス] 6. スタート・サムシング [トミー・D’s・メイン・ミックス] 7. スタート・サムシング [ブラザーズ・イン・リズム・ミックス] 久しぶりに日本盤を載せてみました。持ってないくせに。(私、管理人は、当時小遣いが1000円だったので、国内盤は高くて買えなくて、欧州盤を買っていました。)持ってる人、情報が間違っていたら、厳しくご指摘お願いします! 『EARTH SONG』には、欧州盤では主に3種類のCDが出ています。日本盤は、そのうちの1枚と近い選曲になっていますが、完全には一致しません。(詳しくは欧州盤で。) 7トラックとボリュームは多めなのですが、よく見ると、『EARTH SONG』の普通バージョンとラジオ・エディット、とか、「ハニズ」のリミックス同シリーズの長さ違いバージョン、とか、若干、変化に乏しく冗長な印象。トラックをたくさん集めたい!という人には良いんですが・・・。オリジナルの楽曲が素晴らしいので、こういう並びのシングルで、「ハウス・ミックスは単調で聞き飽きた~」と言われたりしないと良いんだけど。 収録タイムが長いので、ノンスタップ!で踊りたい場合のCDとしては良いかもしれませんね。ただ、アマゾンなどでは現在、日本盤はムダに中古価格が上がっていて、同じ代金を出すなら、個人的には欧州盤を2枚か3枚買った方が良いかなと思います。欧州盤の方が内容的にお楽しみ特典(メドレー)が多いので。 「スタート・サムシング」のブラザーズ・イン・リズムは、鋭い人は気がついていると思いますが、もう何回も過去のマキシ図鑑に登場していて、マキシをたくさん持っている人の場合は、同じミックスが手元に重複してきます。どこで登場したか思い出せる?あぉっと、私もじっくり探さないと思い出せません!(笑) 今日はここで力尽きます。次回、欧州盤にて、大地の「叫び」を語ります! |
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