アメリカではこのシングルは7”とカセットで出ていて、CDはプロモ盤（カタログNo. ESK 5562）のみ。全米チャートに記録は残っていません。諸外国では93年12月にシングルCDが出ていて、UKチャートで最高位33位、ドイツで45位など。

チャート記録だけを見ると大変地味な数字に感じると思いますが、時期を考えると、まず第一に、アルバムのリリースからすでに丸2年が経過した後であること。それから、前のシングル『WILL YOU BE THERE』が出た93年6月から、このシングルの12月という期間が、マイケルと家族とファンにとって、どのような時期だったか思わずにはいられません──過酷なツアー、悪意・嫉妬・欲望・攻撃、ファンの熱狂、あちこち痛くてたまらない、限界を超えて次のステージにも立たないといけない──色々とあって、本来はかなりの健康優良青年だったマイケルが体調不良によりステージをキャンセルする頻度は徐々に増え、結局、ツアー自体が続行不可能となりました。命からがら、ようやく鎮痛剤中毒の治療から戻り、マイケル自身がネヴァーランド・ランチから中継で「釈明会見」を行ったのが、93年12月でした。大変だったけど自分は適切に治療を受け、おかげさまで元気にやっているから安心して、といったことを述べ、また、警察から受けた不当な取調べや、あらゆる根拠なき疑惑に対して自分が完全に潔白であることを説明しました。要するに、「僕は地獄を見てきたんだよ」と、後年のマイケルが笑いながら言う時の「地獄」の一つはきっとこのあたりで、しかもこれで終りなんかじゃない、ということ。残念ながら、こういう異常な状況のアメリカ国内で、まともなやり方で美しい歌を歌って、シングル・ヒットもクソもありません。（Oops, ）

脇道に逸れました。これらの時期的な話は、『GONE TOO SOON』そのものには直接関係はありませんが、時系列ではそのあたり、ということです。

さて、そんなわけで、2010年現在、この曲のシングルCDを見つけたいと思ったら、最もポピュラーなのは、例によって欧州盤マキシになると思います。Check it out

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ヨーロッパ方面では、7mmの厚さのスリム・ケースに入った「マキシ・シングル」として、こちらの盤が登場。

オーストリア盤（UK・ヨーロッパで流通）
Michael Jackson GONE TOO SOON
( 5099765997620 / カタログNo. 659976 2 )
1993年12月リリース
定価　？

1. GONE TOO SOON
2. HUMAN NATURE
3. SHE'S OUT OF MY LIFE
4. THRILLER

オススメ指数　（※2010年現在、中古盤を買う場合。管理人の独断でズバリ言うわよ調べ）
収録内容充実度・・・★★★☆☆
ジャケ買い度・・・★★★★★　ライアンと一緒に。
レア度・・・★★★☆☆
価格・・・定価くらいか、やや高めに推移。
総合点・・・★★★☆☆

リミックスは無し。シンプルに、テイストの近い過去の楽曲をカップリングした4トラックのタイプの盤です。しっとりとした、絶妙な選曲・・・と思ったら、最後に元気良く『スリラー』が出てくるんですが、この時代、いわゆる「マイケル・ジャクソンのベスト・アルバム」のようなタイプのCDはまだあまり出ていないので、シングルCDで、アナログ・レコード時代の名曲をリマスター音源で織り交ぜてくることは、ミニ・コンピ盤のようなニュアンスもあったと思います。

ジャケ写に使われているスナップは、言うまでもなく、在りし日のライアン・ホワイトとマイケル。二人とも寒そうにジャンパーのポケットに手を突っ込んで、お喋りしながら散歩している、ホームビデオからの一コマです。ショート・フィルムにも、ライアンの映像が使われていますが、これはライアンのお母さんの許可を得たものです。また、ライアン自身とも、マイケルは一緒にショート・フィルムを撮ろうと約束していたのだそうですが、実現する前に、この若き友は旅立ってしまいました。ともかく、PR用の写真などとは違って、ピントはぼけぼけなんですが、すっごく良いカヴァーアートじゃない？この、友だち同士の二人はお互いに勇敢な戦士で、普段着で、リラックスして喋りながら散歩してる写真なんてさ

あと、これは細か過ぎてほとんどの人にはどーでもいい話になると思いますが、私はたまたまこのシングルを2枚入手して、どちらもカタログNoは同一の「659976 2」のディスクでしたが、細か～く仕様が異なる盤が存在するみたいです。ヘイ、キッズのみんな、間違い探しの時間だよ

　　
　　
左；　ミスプリント盤（スリラーが短いバージョン）　　　右；　表記が正確な盤（スリラーが5：57）

右の盤と左の盤では、アートワーク・ディスクのレイアウトがちょっとだけ違います。プラス、左の盤は、たぶん初期のプレスの盤だと思うのですが、明らかなミスプリントが生じていて、紙とディスクのクレジットにはハッキリと「THRILLER 5:57」と書いてあるのに、実際に収録されているトラックは、フルよりも1分以上短縮エディットされた、いわゆるラジオ・エディット（シングル・エディット？）っぽいバージョンが収録されています。右の盤では、書いてある通り、5：57のバージョンが入っています。だからどーした、という話ではありますけども・・・（笑）。でも、こういう明らかなミスプリントは若干珍しいかも。こういうの集めてる人、いるのかな？？どっちがよりレア、とかの差は特にないと思うので、アマゾンなどで現品を見ずにオーダーする場合は、どっちが届くかは運次第。えええっ、「別にどっちでもいい」ですって（笑）

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というわけで、『GONE TOO SOON』の、全・公式ミックスは以下。

Album Version
Instrumental

インストはアメリカでのシングルなどに収録されています。もともと短めの曲なので、特にエディットが無く、シングル曲でここまでバージョンが絞られた楽曲は逆に珍しいですね。この他に、現在のところ公式には発表されていないデモ・バージョンが存在するということが知られています。

さぁて・・・『DANGEROUS』からのシングル・カットも、これでようやく一段落です。なんだか寂しいなぁ・・・みんな、泣くな！なぜなら、仕事人間の隊長はけっして仕事を休まない　このコーナーは、次回、さっそくHISTORYツアーのキックオフ。93年？ノー、これしきのことでマイクは負けない。叫びたくなる時は、ジャネットが一緒だ！お楽しみに。