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| | 【2024/04/25 13:32 】 TOP▲
2001年、オックスフォード大学での講演。Part.1
2001年3月6日、マイケル・ジャクソン、『ヒール・ザ・キッズ』イニシアチブについて、オックスフォード大学での講演。

Part.1
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親愛なる友の皆さん、熱烈な歓迎に心から感謝します。そして学長に感謝します、本日はお招きいただき光栄です。また、ここオックスフォード大学で11年ラビを務めているシュムリー師に特別の感謝の意を表します。彼と私は、「ヒール・ザ・キッズ」を苦労して設立し、子どもらしさとは何か、という内容の本の共同執筆もしました。すべての活動を通じ、私を支えてくれているかけがえのない友人です。ありがとう。(会場、拍手)
「ヒール・ザ・キッズ」のディレクター、トバ・フリードマンにも感謝します。彼女はマーシャルの研究をしていたここ母校に今夜戻ってきました。そして、もうひとりの「ヒール・ザ・キッズ」中心メンバー、マリリン・ピールズにも感謝します。

私はこの場でお話できることを光栄に恐縮に思います。これまで、著名な方々がここで講義されました。マザー・テレサ、アルバート・アインシュタイン、ロナルド・レーガン、ロバート・ケネディ、マルコムXといった方々です。カエルのカーミット(セサミ・ストリートのマペット)も登場したと聞いています(会場、笑)。「ここに立つのに青いっていうのは大変なことさ(まだ青二才、未熟者なので)」というカーミットの気持ちがよく分かります(会場、笑)。カーミットも私と同様、この場に上がるのに緊張したことでしょう。

オックスフォードを見回すと、私はこの偉大な場の威厳と壮麗を、また言うまでもなく、何世紀にも渡りここを歩き回ってきた偉大な才能の輝きを感じずにいられません。オックスフォード大学が送り出してきたのは、偉大な哲学者や科学者だけに限りません。J.R.R.トールキン(『指輪物語』)からCSルイス(『ナルニア物語)に至る、才能に満ち溢れた著名な児童文学作家たちもまた送り出してきました。クライスト・チャーチのステンドグラスの窓に描かれたルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』は不朽の名作です。子どもたちの大好きなアメリカの児童文学者ドクター・スースの絵もありました。彼はこのホールを飾り、世界中の多くの子どもたちの想像力を養う作品を生み続けています。

まず私が、今夜皆さんの前でお話させて頂けるようになったわけから始めましょう。
皆さん、私にはこのホールで講演してきた有名な方々のように、専門知識があるとはいえません。彼らがムーンウォークの名人とは呼べないのと同じです(会場、笑)。ご存知でしょうが、アインシュタインはとりわけ下手だったと聞いています(会場、笑)。

しかし、私は人よりも、多くの場所に赴き色々な文化に触れてきたということは言えます。人の知識は書物から得られたものだけでなく、心に描かれ、魂に掘り込まれ、精神に刻み込まれたものからも作られます。そして皆さん、私は短い間に、多くの経験をしてきたため、自分がまだ42歳であるのが信じられません。よくシュムリーにも言うのですが、精神年齢は80歳には達していると思います・・・今夜は80歳のように歩くことさえ出来ます(会場、笑。注・・・マイケルはこの数日前に足の骨を2本痛めており、実際歩くのも痛かったので)。ですから、今晩は私の話にお付き合い下さい。今日ここでお話しすることが、人々の心、私たちの地球を癒せるかもしれません。

神の恵みによって、幸運にも、私は人生の早い時期に、アーティストとして、プロとしてのたくさんの夢を叶えてくることができました。しかし皆さん、このような実績だけが、私が何者かということではありません。実際、元気な5歳の少年は、観客の前で『ロッキン・ロビン』や『ベン』を歌っていましたが、笑顔の裏側で、少年の本当の心を表してはいなかったのです。

今夜、私は、ポップのアイコン──この意味はともかく──としてではなく、ある世代、つまりもう子どもではない世代のアイコンとして、ここに立っています。

私たちはみな、子ども時代の産物です。でも、私は「子ども時代の欠如」の産物です。両親や周りの大人からの愛情を一身に浴び、最大の心配事といえば月曜日朝のスペリングテストしかないような、夢中になって遊べるはずの貴重な時期を過ごさずにきてしまいました。

ジャクソン5ジャクソン5をよくご存知の方は、わたしが若干5歳という年齢でデビューしたことをご存知でしょう。それ以来ずっと、歌い、踊り続けています。ステージに立っている時や音楽を作り出している時は確かに大きな喜びで満たされていましたが、小さい頃の私はそれよりも何よりも普通の少年でいたかったのです。木の上に家を作ったり、水風船をぶつけっこしたり、友達とかくれんぼをしたかったのです。

でも、これは私の宿命で、周りで遊んでいる子どもたちの笑い声を羨むことしかできませんでした。私のプロとしてのライフスタイルに、息抜きなどありませんでした。でも、毎週日曜日に「エホバの証人」の行うパイオニアリングと呼ばれる布教活動に通ったものです。他の人たちの子ども時代の魅力を見ることができたのはその時でした。私はすでに有名人でしたから、太って見える服、かつら、あごひげ、眼鏡で変装し、南カリフォルニアの郊外で家を一軒一軒訪ねたり、ショッピングモールを歩き回ったりして、「ものみの塔」という機関誌を配布しました。私は普通の家を訪ね、ふかふかのラグやアームチェアの上で、子どもたちがモノポリーゲームをして遊んだり、おばあちゃんが孫の面倒を見たりするような日常生活の素晴らしく平凡な、輝く光景を見るのが大好きでした。そんなのたいしたことじゃないじゃないか、と思われるのは知っています。でも、私にとっては、とても魅力的なことでした。

子ども時代がなかったと感じているのは自分だけだと考えたものです。この思いを分かってくれるのは、実際ほんの一握りの人だけだと信じていました。最近、シャーリー・テンプル・ブラックにお会いしました。1930,40年代の偉大な子役スターです。最初はお互い何も言わず、ただ一緒に泣きました。シャーリーはごく親しい友人、エリザベス・テイラーやマコーレー・カルキンにしか分からないような痛みを分かってくれたのです。

皆さんの同情を買うためにこの話をするのではありません。私が言いたい大事な点は、子ども時代の欠如に苦しんでいるのは、ハリウッドの子役スターだけではないということです。今日、それは世界共通のの不幸であり、地球規模の悲劇です。現代では、子ども時代が悲惨な状況になってきているのです。喜びを感じたことのない、権利を与えられない、子どもらしさを知る自由を許されなかった、そういったたくさんの子どもたちが、私たちのまわりで生み出されているのです。

今日、子どもたちは休むことなく早く成長するよう求められます。子ども時代といわれるこの期間が辛い段階であるかのように我慢し、出来るだけ速やかに通過することを求められます。この点に関しては、私も世界的エキスパートの一人といえます。

私たちは親子関係の断絶を目の当たりに見てきた世代です。心理学者は、子どもたちの心や人格の健全な成長に必要な無償の愛を与えられないことが及ぼす破壊的影響について、多数の本を出しています。放っておかれるために、あまりにも多くの子どもたちが、自らの力だけで成長していかなければならないのです。

彼らは、両親、祖父母、他の家族たちから、距離を取りつつ成長しています。かつて世代間を結びつけた強力な糊が剥がれるように。こうして、新しい世代──O世代と呼びましょうか──が生み出されました。O世代はX世代からバトンを受け取りました。O世代は、表面的にはすべてを手に入れた世代の代表です。富も成功も、きれいな服もカッコいい車も手に入りますが、心のなかは、やるせなさで満ちた世代です。彼らの胸の空洞、心の底に広がる荒野、中心にぽっかり空いた空間も、かつては鼓動や愛で満たされていたはずです。

そして、苦しんでいるのは子どもだけではありません、大人も同じです。子どもの身体をした小さな大人を育てようと努力すればするほど、大人の中の子どもらしさも失われていきます。大人の生活にも、子ども的な部分を必要とする場合がたくさんあるのです。

Part.2 に続く 
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